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入江の言葉と温もりに頭がぼーっとし始め

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入江の言葉と温もりに頭がぼーっとし始め

入江の言葉と温もりに頭がぼーっとし始めた時,

 

 

がたんっと玄関先から音がして二人の体は咄嗟に離れた。

 

 

「ようやくお帰りですかね。」

 

 

何処で何してたか問い詰めてやりましょうか。なんて笑う入江と一緒に家の主を出迎えに行った。

 

 

「遅いじゃないですか。何処で誰と何してたんです?」 額頭紋消除

 

 

にやにや笑う入江の横にお帰りなさいと微笑む三津を確認して桂はふぅっと息を吐く。

 

 

「中岡君に会って話が弾んでしまった。玄瑞も一緒だったから聞けば分かるよ。

それよりまた晋作が馬鹿な事を言い出したね。」

 

 

三津に視線を寄越すと三津は何度も縦に頷いた。

 

 

「中岡さんこっちに居るんです?それは驚いた。

お忙しいのは分かりますがちゃんと三津さん守ってあげてくださいよ?では私はこれで。

三津さんおやすみなさい。」

 

 

「はい!ありがとうございました!おやすみなさい。」

 

 

ぺこりと頭を下げた三津に笑みを投げかけて入江は家を出た。

 

 

「こんな時に遅くなってすまない。」

 

 

何も出来なくて不甲斐ないと肩を落としながら家に上がった。

 

 

「いいえ。まさか高杉さんが子供産んでくれなんて言うと思いませんでしたから。」

 

 

明日になったら忘れてくれてるといいなと笑っていると桂の温もりに抱き締められた。

 

 

「私の子供は産んでくれる?」

 

 

三津の頬に自分の頬をすり寄せて耳元に吐息をかけた。

きっと顔を真っ赤に染め上げて慌てふためくに違いない。

その反応を期待する。「小五郎さん……。」

 

 

あなたの子供なら喜んで。とでも言ってくれるかな?そんな期待も抱いていたが,

 

 

「酔ってますね?いつもよりお酒の匂いがぷんぷんします。お水飲んでください!」

 

 

ぐっと胸を押し返されて膨れっ面とご対面。

 

 

「もっと言う事ない?」

 

 

愛する相手から子供が欲しいと言われてるんだよ?そんな思いも伝わらず,三津は水水!と台所へ行ってしまった。

 

 

「本当に私の男としての自信を削ぐのが上手いね……。」

 

 

こんなにも通用しないのは初めてだと居間に座り込んで項垂れた。

 

 

「まだまだ教え込みが足りないかな。」

 

 

水を飲みながらてきぱきと寝床を整える三津を眺めて呟いた。

 

 

「ん?何ですか?」

 

 

こっちの話と苦笑いではぐらかして敷かれた布団にごろんと転がった。

 

 

「おいで。」

 

 

細い手首を掴んで引っ張れば簡単に胸に飛び込んでくる。その体を抱き留める。

 

 

「ちょっと……。」

 

 

桂を押し倒すような体勢になってしまって三津の顔は真っ赤だった。

その顔を両手で挟んで唇を重ねた。

 

 

「んー!酔っちゃいそう!」

 

 

お酒の匂いに堪らず胸を押し返す。

 

 

「酔っちゃえばいい。この前の三津可愛かったから。」

 

 

両肩を掴まれた三津が瞬きしてる間に視界には天井と桂が映り込んだ。

 

 

「お酒は強い方でね。ちゃんと頭も働くし記憶だってある。しっかり剣を振るう自信もある。」

 

 

にんまりと笑った桂の重みを感じてようやく自分が下敷きになってると気付く。

 

 

「でも三津は記憶を失くすし寝てしまうから私以外の男と呑んじゃ駄目だよ。何されるか分からない。」

 

 

君に何かしていいのは私だけだからね。

瞬きを忘れて見上げてくる三津の赤らんだ頬を優しく撫でて言い聞かす。

 

 

「私は触れてもいいよね?」

 

 

柔らかな目元に見つめられて三津はこくこく頷いた。

 

 

「じゃあ遠慮なく。」

 

 

「えっ!?いや!今やなくっ……んー……。」

 

 

反論を聞く気はない。言わせない。

あとは何も言えなくなるまで自分に溺れさせるだけ。

 

 

『三津の方からもっと求めてくれるようになるにはどれくらい時間を要するだろうね?』

 

 

恥じらいながらも従順な三津が堪らなく愛おしい。それに貪欲さが備われば……

 

 

次から次へと溢れ出る欲求に自分でも苦笑した。自分はここまで欲深い人間だっただろうか。桂自身でも不思議に思う。

 

 

『だから余計に手放したくないんだよ。』

 

 

間違いなく三津以上なんていない。

あの時は一喝したが高杉の三津を欲しがる理由はよく分かる。

 

 

『動かす糧……。そうだな糧だ。』

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